美しく広大な敷地の日本庭園を持ち、現在は日本調剤様の保養所となっている洛翠様。元々は南禅寺の境内でしたが、明治政府によって没収された後、1909年に作庭されたと言われています。手掛けたのは、山県有朋の別荘である無鄰菴や平安神宮などを手掛けた小川治兵衛。その迫力ある日本庭園とともに施設の入口に掲げられた、大きく迫力のある暖簾を紹介させて頂きます。 大きな入口に掲げられる暖簾は、その大きさに負けないようバランスを考慮されたサイズになっており、建物とともに、来た人に迫力を感じさせます。
生地は厚手の綿スラブを使用し、厚くしっかりとした重厚感のある印象に加え、表面の独特の畝が風情を醸し出しています。
これほど大きな暖簾を形にするためには、裁断や縫製において高い精度が必要になってきます。一部に歪みが生じると、全体のバランスが崩れ、曲がった印象を与えてしまうため、精度の高い職人による非常に丁寧な仕立てが必要になってきます。
また、当店では、生地の端を三つ折りにして縫製する本仕立てと言われる仕立ての方法を取っています。これは生地を必要なサイズに裁断した後、生地の端をきれいに整え、丈夫にするために施す仕立てで、丈夫さと、見る人に対して丁寧な印象を与えることができます。
広大で迫力のある日本庭園は職人の細部にわたる丁寧な仕事によって、美しさを表現しているのだと思います。それはどのような仕事においても同じではないでしょうか。大きな寺社仏閣の宮大工の精巧な技術、現代のビルの緻密な設計など、例え大きく迫力を見せるものであっても細部への配慮が必ず必要になってきます。
全く次元は異なりますが、当店でも常に細部の作業にまでこだわった仕事を行い、難しい大きな暖簾、旗、幟、幕といった製品を美しく作り上げていきたいと思います。