麻の暖簾を作りたいが、イメージ通りのものが出来るか不安。または、だだ単に「麻」であればいいというのではなく、雰囲気に合わせて最適な種類を選びたい、とお考えの方もおられると思います。
皆さんが不安に思われているように、麻の生地は1種類ではなく様々な種類があり、種類によって雰囲気は全く異なります。その分、最もデザインに合った生地を選択することでより美しい暖簾が出来上がりますので、楽しみながら生地を選んで頂きたいと思います。
ここでは、麻の代表的な生地の特徴説明と、それぞれの出来上がりの事例を紹介させて頂きますので、お使いになられる生地選びの参考にしてみてください!
1. 生平
暖簾に使用する麻の中でも定番の生地で、麻の暖簾を想像された場合に最もイメージに近い生地かもしれません。
薄手で程よい透け感と生成り色が、麻の魅力である涼しさと和の雰囲気とを作り出します。
また、比較的幅の選択肢も多いため、ご要望に対応しやすい生地になります。
本記事では、イメージしやすいようにそれぞれの生地を使用した暖簾の事例を載せていますので是非参考にしてみてください。
2. 生平 厚
定番の生平麻と同じ織り方で、太い糸を使用することで厚みを持たせた生地になります。色が少し濃い目で比較的表面が粗くなっています。涼しさと重みのバランスが取れた生地と言えます。
3. 太布
暖簾によく使用する麻の生地の中では最も重厚感のある生地です。丈夫で重みがあり、風が強い場合でも巻き上がり難いのも特徴のひとつ。
歴史や屋号にかけた重みを表現したい場合などにも期待に応えられる生地であると思います。
4. 太布 変わり織り
上述の太布の変形型で、太布の特徴を持ちながら少し珍しい表情をした生地になっています。太布よりも透け感が強い方がお好みの場合や、あまり他にはない生地を使った独特の暖簾をお求めの方にはおすすめしたい生地になります。
5. 瓦布(かわらふ)
瓦布の名の由来は、寺社仏閣などの屋根の瓦を敷く際に瓦が滑らないように下に敷いた生地であり、現在も重要文化財の修復などでも用いられています。目が粗く、厚手で透け感もあるのが特徴です。
下の製作事例は、生地の雰囲気と歴史的背景がお好みに合致して、台湾からご依頼頂いた暖簾になります。
6. 半洋(はんよう)
半洋は縦糸が紡績糸で白っぽく涼し気な雰囲気を作り出します。下の画像のように白い生地を活かした手描き暖簾や、夏場に使用する暖簾におすすめの生地です。
7. 白波布(しらなみふ)
白波布はその名の通り表面に白波のような柄が美しい織りが特徴で、その白さと表面の織りの見え方が高級感を漂わせます。洗練された印象を与えられるため、料亭やお寿司屋さんからご要望を頂くことも多い生地です。注意点としては、生地幅が30cm幅までしかないため、広い幅の暖簾をお作りになられる場合は5つ割れにするなどして使用する必要があります。90cm幅であれば下の画像のように3つ割れで使用することが出来ます。
8. 五郎丸(ごろうまる)
麻の生地の中では最も高級な生地で、こだわりの詰まった暖簾においてご要望頂くことがございます。洗いをかけて磨きのかかった生地は麻の表情を持ちながらとても洗練された印象を与えてくれます。
9. 次郎丸(じろうまる)
五郎丸と同じ織り方をしていますが、晒し度合いが五郎丸よりも低いため、生成り色の部分が所々残ることで柄のようになり、味のある表情を作り出すことができます。
染め抜きの場合に、染め抜いた部分の生地の表情に味があり、和の雰囲気を作り出すことも出来ます。
10. PE 麻風スラブ(ポリエステル)
麻風に見せたポリエステルの生地で、写真やフルカラーのデザイン、大変細かいデザインで製作する場合、本麻は目が粗く細かなデザインには対応出来ないため、この麻風スラブを使用します。
今回、暖簾に使用する代表的な麻の種類を紹介させて頂きましたが、イメージに合った生地はおありだったでしょうか?
今回紹介させて頂いたた生地以外にも麻の種類はありますので、「こんな雰囲気の生地で」ということを伝えて頂ければいくつか提案させて頂くことも可能です。
もし、業者探しから迷っておられるなら、当ブログを運営する京都の老舗『加藤健旗店』までお問い合わせください。
きっとご期待以上の暖簾をご提案させていただきます。