大阪府和泉市信太地区だんじり祭り葛の葉町の御祭禮幟について以前紹介させて頂きましたが、法被についても加藤健旗店にて製作させて頂きました。
職人の技を結集して造られる地車(だんじり)。その彫刻や装飾は、豪華絢爛な伝統工芸品でありながら荒々しく勇壮に走り抜け、その豪快さは日本人は勿論、海外の方にも多く知られています。
だんじりを曳き回す人や、大工方と言って屋根の上に乗られる人の姿もまた大変格好いいです。内からほとばしる熱い思いと誇りを纏った法被がその格好良さを演出するのに果たす役割は大きいです。
人々が着る法被は、激しく動き回るための機能性と、だんじりと調和する優美なデザイン性を併せ持つ必要があります。今回はそのような法被をどのように製作しているか紹介させて頂きます。
1.生地の選定
こちらの法被の生地には「60番ブロード」を使用しています。
ブロードとは、経糸と緯糸の太さが同じで、経糸の密度を緯糸の2倍にし、緯糸をカバーするように織ってある平織りの生地です。
緯糸の方向に細い畝(うね)ができます。
糸番手の数字が大きくなるにつれ糸が細くなり、一般的には数字が大きいほど高級になります。
また、綿のためポリエステルなど化学繊維よりも通気性に優れ快適に着用でき、程よい光沢感は洗練された印象を与えます。
2.デザインと用途にあった染色方法
綿を染めるのに相性の良い反応染料による捺染で染めております。反応染料は堅牢度が高く、洗濯に対しても耐久性が高いので激しく動く祭でも大切に着て頂くことができます。
また、捺染はデザインの輪郭をはっきりと染めることが可能であり、こちらの法被のようにはっきりとした紋を表現し、文字の縁取りにより立体的に浮き上がらせるデザインを染めるのに適しています。
3.シルエットへのこだわり
写真を見て頂くとわかるように、長袖で普通の法被よりも袖が先端に向けて細くシャープになっています。だんじり用の法被には良く見られますが、動き易さとシルエットの格好良さの両方を兼ね備えています。
以上のように、快適に使用でき、かつデザイン性の高い法被を製作するには正しいノウハウと染色、仕立てにおける確かな技術を持った職人による作業が必要になります。染色方法は生地や目的によって何通りもあり、それぞれの方法によって得意としている職人がいるので最適なアレンジを行う必要があります。まずはデザインのイメージや目的をお伝え頂きご相談頂くことをおすすめ致します。
また、こちらの法被は葛の葉町の白銀の御祭禮幟とのコントラストが非常に美しく、お互いを活かし合っていますのでその点にもご注目頂ければ幸いです。