京都市北区にある京都市立大宮小学校が、平成29年度に創立100周年を迎えられました。
創立100周年記念事業の中で校旗についても新調が決まり、地域の方々も含めた委員会による一大プロジェクトになりました。
そして、光栄なことに、その記念すべき校旗新調を加藤健旗店にお任せいただきました。歴史の重みと未来への思いが込められた旗がどのようなものか紹介させて頂きます。
子供の教育機関としてだけでなく、学校・地域・家庭が連携する地域社会の核となるよう、開かれた学校運営で地域社会との関係を築いてこられた大宮小学校。
その100年の歩みを表現するため、校長先生をはじめ、何度となくすり合わせを行いました。
そうして完成した旗は、静謐な夜空を思わせる深く上品なブルーの中に校章の星が輝く、シンプルながらも洗練されたデザインとなりました。
旗生地は、出来上がった旗を染めるのでなく、糸の段階で指定した色に染めてから織る、先染めという技法を用いた綴織(つづれおり)を使用することで、こだわりの色を表現。
校章と学校名、旗の周囲を飾る金色のラインには機械は使用せず、全て職人の手作業による盛上刺繍です。
また、校旗の縁を飾るフリンジと呼ばれるひげのような装飾、その根元をご覧ください。
二重別七宝編みという、花のような美しい模様が職人の手によって編み込まれています。
これにより遠くから見た時でも、シンプルなデザインの中に格調の高さを感じさせてくれます。
これら刺繍に使用されている金糸は、純度の高い金箔を用いた本金糸で編まれており、いつまでも色褪せることがありません。
こだわりは旗本体だけではありません。
旗棒は一般的な黒のものではなく、旗の色と相性の良い青貝を使用しました。
持ち手部分の先端に取り付ける金具も透かし彫りを施して、青貝の旗棒の美しさに負けない存在感を持たせました。
この金具や旗の先に取り付ける三方正面には、銅に金メッキ加工を施すことで、一般的な真鍮には出せない色の深みと重厚感のある仕上がりになっています。
このように細部までこだわり抜いた旗だからこそ、創立100周年という重みを受け止め、新たな歴史を末長く紡いでいくための誇りとなっていくのです。