オリジナルの半纏・法被のデザインをお考えの際に、どの部分に何の文字や紋を入れるべきか、決まりや慣わし、検討すべきポイントなどがあれば知っておきたいという方も多いのではないでしょうか?
半纏・法被は日本固有の文化であり、伝統や誇りを表現できるものでもあります。印半纏と呼ばれることもあるように、江戸時代には自分自身を表す印として半纏・法被を纏っておられました。
現代においては、必ずしも元来の決まり通りにする必要はありませんが、元来の文字や紋の意味合いを理解した上で検討したい!という方のために、ポイントを紹介させて頂きます。
紋や文字を入れる場所
まずは紋や文字を入れる部分の各部名称を紹介します。
①抱き紋・控え紋
左右の胸の部分に入る紋のことで、昔は、弟子が独り立ちする際などに、師が、自分の店の屋号や家紋をこの部分に入れていたと言われています。(襟文字の一番上に入れる場合もあったようです) 現在はそのような決まりがあるわけではありませんが、贈り物の場合は検討されるのもいいかもせれません。
②襟文字
会社名、団体名、個人名などを入れる部分です。着用した時は、左が上、右が下になるため、会社名、団体名、個人名などを左に入れることが一般的とされていますが。バランスなどを考慮して両方とも同じ文字を入れる場合もあります。
③腰柄
知っておきたい仕立ての知識
お仕立ては、法被・半纏の細部の形や縫製の仕方のことです。選択肢を知っておくことでより好みに合った法被・半纏を作ることが出来るので紹介させて頂きます。
背縫い
背縫いとは、背紋(大紋)の中央で生地を縫い合わせて1枚に仕立てていることを指します。昔、幅の広い生地を作ることが出来なかった時代に、1枚の生地では服を作る際に幅が足りず、生地を縫い合わせて作っていたことに由来しています。現在は幅の広い生地を作ることが出来るようになり、生地によっては背縫いが必要では無くなりましたが、着物なども同じように中央を縫い合わされているように、より和の雰囲気を持たせることが出来るとともに、綺麗に縫い合わせるための職人の技術や思いが感じられるものです。また、一本筋を通すという意味もあり、大切な紋やシンボルマークに一本の芯を通すという思いを込めてこの背縫いを入れた法被・半纏を選ばれることもあります。
袖口(そでぐち)の形
袖口には通常の袖の形以外にも用途やお好みで選択可能です。
通常の袖は付け根から袖口まであまり広さは変わりません。
鉄砲袖というのは、袖口にかけて細くなる形をしており、だんじり祭や、一部の職人さんが使われており、機能性と引き締まった印象があります。
飾り袖という種類は、袖なしに僅かに斜めの形に生地を足したような形で、太鼓半纏やよさこいの衣裳として使用されることもあります。
襟(えり)の幅
襟の幅は通常5.5cm ~6cm 程度です。細かな文字を入れるために幅を広くしたり、襟が高くなり過ぎないように細めに調整することは可能ですが、このぐらいの幅がバランスが取れた形になります。
裾(すそ)の折り返し
元来の江戸半纏では裾の折り返しを広くとられることが多かったため、それに習って広めに作ることが多いですが、腰柄の大きさや位置によっては狭くする必要がありますので、お好みや状況に合わせて選択して問題ありません。重要なことは、製作する業者がこのあたりの背景を理解して提案されているかどうかですので、事前に相談されることをおすすめします。
今回、法被・半纏を製作する際のデザインやお仕立てに関する決まりやポイントについて紹介させて頂きました。必ずしも元来の習わし通りにする必要はなく、これらのことを参考にしてお好みの形を作って頂ければ問題ありません。一通り目を通して頂いた上で業者に相談されるとより良いものが出来ていくと思いますので、その一助となれば幸いです。
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