法被

小倉祇園太鼓の法被(半纏)製作 品格ある祭り衣装とは

投稿日:2017年12月7日 更新日:

福岡県北九州市の中心部である小倉で400年近く続いている「国選択無形民俗文化財」に指定された祇園祭である小倉祇園太鼓。
その中で、魚町三丁目様のオーダーメイドの法被(半纏)を、京都の加藤健旗店にて製作させて頂きました。歴史あるこの祭りにおいては、祭を盛り上げていくのと同時に、歴史と伝統を守るために衣装にも品格が求められています。この祭に相応しい法被(半纏)となるよう、培ってきた知識と技術をベースに心を込めて製作させて頂きました。

小倉祇園太鼓は、小倉城を築城した細川忠興公が、城下の無病息災と城下町繁栄を願い、始めたとされています。江戸時代は各町内が笛、鼓(つづみ)、鉦(かね)をはじめ、山車、傘鉾、踊車、人形飾り山などの出し物を、町内単位で披露していましたが、明治、大正時代を経て、山車の前後に太鼓を載せる現在の形となりました。全国的にも珍しい太鼓の両面かつ歩行打ちが特長で、太鼓、ヂャンガラ(摺り鉦)、山車をひく子どものお囃子による一つとなった音の調和がすばらしい太鼓祇園です。

1.風格ある法被(半纏)のベースとなる生地
生地には厚手の十番天竺を使用。
素朴な平織生地で、だからこそ出せる独特の和の雰囲気と風格があります。柔らかさがあり、重すぎず、しっかりとした印象があるため、法被(半纏)に適している生地です。

三貝の紋と小倉祇園太鼓魚町三丁目の文字

2.洗濯に強く内側にも配慮した染色
真っ白ではなく生成りの生地を染色することで、染め抜いた文字や紋が生成り色で現れ、更に和の雰囲気を持たせます。
また、反応染料による捺染で洗濯にも強くなっています。
この染料の配合を変えることで色を裏面まで通すかどうかを調整することが出来ますが、裏面まで色が通っていない場合、使用しているうちに糸が反転してしまい、ところどころ表面に白(生成り色)が出てくることがあります。
こうなっては美しさが損なわれますので、当店では裏面まで色を通すことをおすすめしています。
その上で、色の通し具合を微妙に調整することで、写真のように表面とは違う色合いを出すことが可能です。

裏通しによる内側の色合い

 

3.袖口の袖裏に見る細部へのこだわり
写真のように袖裏付きの仕立てを行っており、この部分の生地はブロードを使用し、かさばらないように配慮しています。
このお仕立てにより、引き締まった印象と細部へのこだわりを表現することが出来ます。

袖裏

法被の生地感はもちろん、生成り色の文字と紋、裏面の独特の色合い、袖裏のお仕立て、このようなひとつひとつのこだわりとそれを支える技術、そして何よりも気持ちを込めて丁寧に製作させて頂くことによって、品格ある法被(半纏)が出来るのです。

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